2010年10月13日
色々話 税理士泣かせの消費税2
どうも最近パソコンに向かえません
仕事がうすくなったなぁと思ったら、一気に体がガタつきました。皆様、季節の変わり目です。無理せずぼちぼちお仕事に励みましょう。
前回の続き。
消費税、現在は課税売上1,000万円超になった事業者さんに納税義務が発生します。実際に納税を行うのは『原則として』課税売上が1,000万円超になった事業年度の翌々事業年度の申告時、であります。
この1,000万円超に初めて至った時点で課税事業者届を税務署に行い、その2年後の年分の申告時から消費税を納める……。一見とてもシンプルな流れのようです。が、この時点で漫然としていますと、後々とても不利な〔要は、他にも選択肢があるのに選ぶ機会を逃してより高額な〕納税をしてしまっていた、という事態が生じる恐れが出てくるのです。
まず、課税方法の選択について。消費税の計算方法には『原則課税』と『簡易課税』の2つがあることは、もう皆様ご存知のところ。
例えば、売上1,260万円・支出経費715万円〔内訳は、消費税のかからない人件費400万円、その他消費税のかかる経費315万円〕という個人経営の小売業者さんの場合。
平成22年の売上が初めて1,000万円を超えましたので課税事業者の届を税務署に行います。
で、この事業主さんの経営状態は今後もこのような収支バランスでじわじわと右肩上がりで継続する、ということが明白、ということにします。
この届出一つで2年後になったとき、この方は『原則課税』方式で消費税を計算することになります。
これは、売上に係る消費税〔例では60万円〕から支払に係る消費税〔例では15万円〕を差し引いた残りを納税する方法です。これだとこの方は24年の申告〔25年3月〕時に45万円の消費税を納めることになります。
もう一つ計算方法がありましたね。『簡易課税』。この45万円、何だか高いみたいだからこっちの方法で計算して申告しようかなぁ、と思っても24年申告時にこの方法は採用できません。
なぜか。『消費税簡易課税制度選択届出書』を23年12月末までに税務署に提出していなかったからです。『簡易課税』はこの届出書を出さないと採用できない課税方法です。
法律の条文では、この届出書の『提出があった日の属する課税期間の翌課税期間以後の課税期間から』届出書の効力が発生、つまり『簡易課税』の適用が受けられますよ、と定められています。
仮にこの方が『簡易課税』を採用できた場合。売上に係る消費税に事業区分に応じて定められた『みなし仕入れ率』というのを乗じます。この方は小売業者ですので第二種事業に該当、第二種事業はみなし仕入れ率80%と法定されています。これを売上に係る消費税に乗ずると60万円×80%で48万円。これを支払いに係る消費税とみなして売上に係る消費税から差し引きます。差額は12万円。これが『簡易課税』採用の場合の納税額になります。
届出一つ出し忘れて12万円で済む消費税が45万円納めることになるのです。
ある年の消費税の計算を『簡易課税』方式にしたければ、その年ではもう遅いのです。その前の年に届をしないといけないのです。
『簡易課税』は課税売上5,000万円以下の方が採用できる制度で、一旦採用したら2年継続適用という上限とシバリがありますので、毎年確実に『簡易課税』が採用できるか、有利かという問題もありますが、今回は『簡易課税制度選択届出書』を出す・出さないでどうなるかを、絵に描いたようなコンパクトでシンプルなモデルでご案内した次第です。
この『簡易課税』に関する届出失念〔選択する、やめる〕が、前回ご案内した税理士職業賠償責任保険の受付事故ダントツの消費税、その内容の約半分を占めています。

前回の続き。
消費税、現在は課税売上1,000万円超になった事業者さんに納税義務が発生します。実際に納税を行うのは『原則として』課税売上が1,000万円超になった事業年度の翌々事業年度の申告時、であります。
この1,000万円超に初めて至った時点で課税事業者届を税務署に行い、その2年後の年分の申告時から消費税を納める……。一見とてもシンプルな流れのようです。が、この時点で漫然としていますと、後々とても不利な〔要は、他にも選択肢があるのに選ぶ機会を逃してより高額な〕納税をしてしまっていた、という事態が生じる恐れが出てくるのです。
まず、課税方法の選択について。消費税の計算方法には『原則課税』と『簡易課税』の2つがあることは、もう皆様ご存知のところ。
例えば、売上1,260万円・支出経費715万円〔内訳は、消費税のかからない人件費400万円、その他消費税のかかる経費315万円〕という個人経営の小売業者さんの場合。
平成22年の売上が初めて1,000万円を超えましたので課税事業者の届を税務署に行います。
で、この事業主さんの経営状態は今後もこのような収支バランスでじわじわと右肩上がりで継続する、ということが明白、ということにします。
この届出一つで2年後になったとき、この方は『原則課税』方式で消費税を計算することになります。
これは、売上に係る消費税〔例では60万円〕から支払に係る消費税〔例では15万円〕を差し引いた残りを納税する方法です。これだとこの方は24年の申告〔25年3月〕時に45万円の消費税を納めることになります。
もう一つ計算方法がありましたね。『簡易課税』。この45万円、何だか高いみたいだからこっちの方法で計算して申告しようかなぁ、と思っても24年申告時にこの方法は採用できません。
なぜか。『消費税簡易課税制度選択届出書』を23年12月末までに税務署に提出していなかったからです。『簡易課税』はこの届出書を出さないと採用できない課税方法です。
法律の条文では、この届出書の『提出があった日の属する課税期間の翌課税期間以後の課税期間から』届出書の効力が発生、つまり『簡易課税』の適用が受けられますよ、と定められています。
仮にこの方が『簡易課税』を採用できた場合。売上に係る消費税に事業区分に応じて定められた『みなし仕入れ率』というのを乗じます。この方は小売業者ですので第二種事業に該当、第二種事業はみなし仕入れ率80%と法定されています。これを売上に係る消費税に乗ずると60万円×80%で48万円。これを支払いに係る消費税とみなして売上に係る消費税から差し引きます。差額は12万円。これが『簡易課税』採用の場合の納税額になります。
届出一つ出し忘れて12万円で済む消費税が45万円納めることになるのです。
ある年の消費税の計算を『簡易課税』方式にしたければ、その年ではもう遅いのです。その前の年に届をしないといけないのです。
『簡易課税』は課税売上5,000万円以下の方が採用できる制度で、一旦採用したら2年継続適用という上限とシバリがありますので、毎年確実に『簡易課税』が採用できるか、有利かという問題もありますが、今回は『簡易課税制度選択届出書』を出す・出さないでどうなるかを、絵に描いたようなコンパクトでシンプルなモデルでご案内した次第です。
この『簡易課税』に関する届出失念〔選択する、やめる〕が、前回ご案内した税理士職業賠償責任保険の受付事故ダントツの消費税、その内容の約半分を占めています。
Posted by 月影 蘭 at 16:10│Comments(0)
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